【漆器】輪島塗とは

■ Japan=漆
陶器を英語で「チャイナ」 と呼ぶように、漆を英語では「ジャパン」と呼びます。つまり世界からみると漆は日本の代表的な工芸品なのです。日本の朱の漆器は、縄文時代前期には作られていたようです。日本最古の漆塗り製品といわれる櫛が、遺跡から出土しています。漆塗りされたものは非常に保存性が高く、いつまでもその価値をとどめておくことが出来る神聖なものだったのかも知れません。
Japanese lacquer is called "Japan" in English so that a china may be called "China" in English. That is, Japanese lacquer is a typical Japanese handicraft seen from the world. It seems that Japanese vermilion lacquer ware was made in the first half of the Jomon period. The comb called oldest lacquered products in Japan is excavating from ruins. That by which lacquered was carried out was very highly preservable, and possibly was a sacred thing which can stop the value forever.
■ 輪島塗とは・・・
輪島塗は今から約600年前に現在の和歌山県紀州根来寺から伝えられ輪島塗独特の工夫や改良が重なって今日の輪島塗が完成されました。
輪島塗は漆器の最高峰といわれます。
しかしながら、輪島塗という名前だけ御存知の方は、「値段が高い」という知識だけの方が大半を占めます。
その背景には本物の輪島塗は小さなお椀一つでも、一年くらいの期間をかけまして仕上げるという手間暇が加味されているからです。
総工程124工程からなり、塗りだけでも36回の塗りがあります。
塗りの後には乾燥・研ぎが必ず入り、湿気で乾燥するという珍しい乾燥方法です。
輪島塗の基本中の基本は「手塗り・手描き・手彫り」の三つになります。
大きく分けましても、塗りは「下地塗り」「中塗り」「上塗り」と三つに分かれ、中でも「下地塗り」は、輪島でしか取れない「地の粉(ぢのこ)」と呼ばれる珪藻土を、漆に混ぜ込み、土台の塗りである「下地塗り」を行っております。
純度の高い地の粉を使うのは、輪島だけの、漆を堅くして固めるための技法です。そして撥水効果もあるため、他産地では出来ない水研ぎができます。
その他に、木地の破損しやすい部分には、寒冷紗「かんれいしゃ」と呼ばれる、麻布「あさぬの」に漆を染み込ませかけやすい部分に補強効果として巻いて、上から漆を塗っていきます。
加飾でいいますと、「沈金(ちんきん)」と「蒔絵(まきえ)」の二つがあり、「沈金」は、ノミで無地の木地に絵を彫り、金を沈めるところから名前がついております。塗りの厚い輪島塗にしかできない加飾になります。
「蒔絵」は、細い筆で、漆で絵を描いて上から、金粉や色粉を蒔いて仕上げます。
オールハンドメイドにこだわり、便利になっていく世の中に逆行して一つのお品を仕上げております。手がける職人も、木地・塗り・加飾と大きく分けても三人以上になり、塗りだけで五人が、手がけることもあります。
一つのお品に、何人もの職人の思いが、塗りの回数と共に込められ、 三代使える輪島塗・堅牢優美(けんろうゆうび)な普段使いの美術品という、称え方を皆様より頂いております。
上記をまとめますと・・・
● 輪島塗の特徴
1、 輪島塗には、二つの特徴があり「布着せ(ぬのぎせ)」と、「地の粉(じのこ)」を下地漆に混ぜ込んでいる
2、 総工程124工程あり、塗りだけで36回
3、 木地から数えて小物でも仕上がりまでに約1年、大物になると二年かかる。
4、 輪島でしか採れない、粒子が細かい地の子(珪藻土)で下地を形成
5、 寒冷紗(麻布)を使い、かけやすい部分に漆を湿らせた布を着せる(布着せ)
6、 分業で専門のプロが行う(時間がかかるが一流のもの)オールハンドメイド
7、 沈金が出来る(塗りで36回)下地がしっかりしていて、塗りの層が厚いため彫っても木地が出ない。
8、 各工程担当者がプロの目で、一つ一つの作業ごとに検品を行っている
9、 自作自売なので修理・メンテナンス出来る
10、 人間国宝、日展作家を多数輩出
11、 他産地と比較して美術品として、そして堅牢である
12、 塗りなおしする事で新品以上に丈夫になる(下地がさらにしっかりしているため)
13、 海外での呼び名「JAPAN」
と、まとめることが出来ます。
● 木の種類-アテ(あすなろ)・ケヤキ・ホウの木等
アテ・・・お盆・重箱等の曲げ物に使う
ケヤキ・・椀・茶托・銘々皿等の堅い木地を使う
ホウの木・花台・卓などの猫脚等の曲がりをつくるのに使いやすい
■ 輪島塗と漆塗りの違い・・・
● 輪島塗
石川県輪島の地(輪島の職人の手により)、輪島地の粉(わじましのこ)を使い、布着せ本堅地(ぬのきせほんかたじ)を施して、手作業で塗り上げた塗り物のみにつけられる総称です。
布着せ本堅地は、輪島の先人が「丈夫さ」と、「美しい仕上がり」と、「修理のしやすさ」を求めて探り考え出された、輪島特有の素晴らしい技術です。
● 漆塗り
輪島塗とは別の工程で作られたお手軽価格の漆器です。
輪島塗の裏打ちされた技術を用い、「用途」や「仕上がり」を意図して石川県輪島の地で(輪島の職人の手により)塗り上げられた塗り物につけられる総称であり、その根本には、輪島塗を守り伝える「精神」があります。